離島の環境改善ために応用可能な情報

 ゆうやなうれ宮古島プロジェクトは、宮古島をはじめ離島における共通の問題に対し有効な解決策を求めるためのプラットフォームであり、解決が急がれる課題について改善プロセスを高めるための参考情報や解決事例を独自のネットワークにより国内外より収集し、紹介することを目的としています。

 離島に関する問題は島固有のものもありますが、対応策として共有できるものが多くあります。 また、離島における生態系の変化や破壊に対する対策、研究結果などエコロジカル・サイエンス及びエコロジカル・エンジニアリングに関する海外の情報を収集し、離島の生活環境改善につながる数多くのノウハウを紹介するのも重要な活動目標です。 

 これらの基本運営方式に従い、このブログ上でのコンテンツは宮古島の情報を発信させるより、むしろ宮古島をはじめ全国の離島のためになる情報、離島で採用可能な有益情報をより多く集めて掲載し、島の将来を考える人々に生かしてもらうことを目的としています。

 さて、今回もそのような離島の環境改善を考える人々にとって参考になる情報です。

 「CNNヒーロー」などで毎年紹介されている、世界に影響のある仕事を成遂げた人々の多くは、組織や行政に頼ることなく個人で結果を出していることに驚かされますが、今月TEDで紹介されたインドネシアのバリ島にあるグリーン・スクールに通う十代の姉妹Melati Wijsen さんと Isabel Wijsenさんも、プラスチック廃棄物に関し自分たちの強い思いを持って行動し、国家や国連をも動かす成果を上げています。

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Photo courtesy: TED Conferences LLC.

 離島においてアウトリーチプログラムを実践する人々にとって、彼女たちのプロジェクトの立ち上げからアウトリーチに至るプロセスには参考になる基本ノウハウが多く含まれています。

 TEDをはじめ You Tube で数多く紹介されていますので、興味のある方はご覧になってください。

実益性を追求する企業活動を通じて、地域の人々の生活支援活動をする

最近見たTED の中で参考になったのが、ナイジェリアのイバダンで従来のようなNPO活動を通じてではなく、実益性を追求する企業活動を通じて、地域の人々の生活支援活動をする MitiMeth社の女性起業家 アチェンヨ・イダチャバさんの話です。

イダチャバさんはアメリカで育ち、大学ではコンピューターサイエンスを専攻しました。 大学卒業後、アメリカのコンピューター関連企業で働いていましたが、自分の納得できる生き方は他にあると感じナイジェリアに移住し、いくつかの事業を立ち上げました。 その中でナイジェリアの国情にあった、より現実的な事業体系としてたどり着いたのが、実益追求型の生活支援事業でした。

彼女が目を付けたのが、ナイジェリアでも農・水産業の障害となる植物を有効利用するための技術開発と、商品化事業です。

そのための有望資源として注目したのが、驚異的な繁殖力を持つ湖の邪魔者、あるいは被害の大きさから侵略的外来種と言われる水草、ウオーターヒヤシンスでした。 ウオーターヒヤシンスは年によっては湖の全ての水面を覆うほど大繁殖して、ボートの航行を全て不能にするので、交通や食品の流通を止めるだけでなく、子供たちもボートで学校に通うため、学校が数週間にわたり休校になることもあります。 また、漁師もこの期間は漁のために船を出せないので、地域全員でウオーターヒヤシンスの除去を行っています。

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Photo courtesy: TED Conferences LLC.

ところが、この嫌われ者にも使い道がありました。 アジアではタイやマレーシア、インドネシア等で伝統的な編みカゴの原料として乾燥させたウオーターヒヤシンスの茎を使っていました。
イダチャバさんは、これら東南アジアのケースを参考にし、不足することの無い廃棄資源を使って地元に工場を作り、多くの女性労働者を雇ってナイジェリア独自のデザインを生かした編みカゴ作りを始めたのです。

幸いなことに、ナイジェリア北部のマラム・ヤハヤ族の人たちは古くから独自の編みカゴ技術を持っていましたので、これらの人々の協力を得て伝統的でナイジェリア独自の文化を感じることのできるデザインを織り込んだ編みカゴを次々と紹介することが出来ました。

イダチャバさんは、「私が印象深かった言葉に Michael Margolis の "その地域の文化を知りたければ、文化が出来あがった過程にしっかり耳を傾けること。 新しい文化を作りたければ、新しい物語を作ること。" というのがありましたが、次の世代に文化を伝えるためにナイジェリア各地で今次々と新しいストーリーが書き加えられています。」 と話しました。

NPO 方式の社会支援をさらに進めた、「実益性を追求する企業活動を通じて、地域の人々の生活支援活動をする」 との方向性はとても参考になります。

気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)と開発途上島嶼(とうしょ)地域

2015年11月30日から12月11日まで、フランス・パリで、気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)と京都議定書第11回締約国会議(CMP11)が開催されました。

今回の会議では、京都議定書に続く、2020年以降の新しい温暖化対策の枠組みをどのように作り、合意するかについての国際会議でした。 その内容は、既に昨年末のニュース報道でご存知と思います。

私たちが今回の COP21 で注目するのは、世界の開発途上島嶼(とうしょ)地域が持つ気象変動に伴う多くの懸念や問題点について、そろえぞれの地域の代表者が直接国際会議の中で世界の首脳に訴えたことと、気象変動の中にあって環境、経済、社会の各分野での持続可能な開発方式等についても話し合われたことです。

また国連の small island developing States (SIDS) では、これに合わせ昨年12月14日、「開発途上島嶼(とうしょ)地域 - 気象変動版」 を発行しました。 この報告書の中では、国連や世界の広い分野の科学者による調査データをもとに、世界規模での気象変動による地域別インパクトや、まだ公開に至っていない各国の研究中のテーマについてなども紹介されています。

宮古島を含めた、世界の島々と気象変動の関係につて興味のある方は参考にしてください。

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遠く離れた地で、子供を孤立させないための家族ぐるみの行動が必要な時代です

毎年この時期になると、私たちが必ず取り上げるテーマがあります。
それは、間もなく地元の高校を卒業し本土の大学に入学したり就職したりする島の子供たちをいかに新しい環境になじませでいくかということと、環境になじむことの難しい子供をどのように支えていくかということです。

そこで、昨年掲載した内容に新たな項目も加えながら、この問題を改めて考えていきます。

昔から、多くの離島の若者が本土に就職のために渡りながらも、本人の期待と現実のギャップの大きさに我慢できずに島に戻ろうとしますが、親の世間体などが理由の場合もありますが、宮古島のケースでは男の子供に関して多くの母親が男親や夫、兄弟、 さらに息子と同年代の若者たちの日常を見て、「この島にだけは戻したくない」との明確な思いを持っています。

これらの事情の中で、島に戻って人生の仕切り直しをすることもできず、本土や沖縄本島で就職難民となった若者が一定数いました。

現在、日本の就職環境はますます厳しさを増しています。 企業は “ブラック” と呼ばれる若者を奴隷化する人権無視の企業ばかりでなく、名の知れた大手企業でさえ平気で若者を使い倒すことで利益を上げる時代となりました。
そのような会社で認められるために若者たちに求められるのは、「自分の全てを会社と上司の価値観に合わせる」 ことだけであり、こうすることでのみ会社での自分の居場所を確保することが出来ます。

しかし、このような会社は従業員にそこまで徹底した貢献を求めておきながら、従業員の将来や生活の保障を一切しません。 ワーキングプアーの根がここにあります。

以前は日本の多くの経営者が持っていた、「従業員と従業員の家族の生活を守ることで初めて会社を成長させることが出来る」との考えは変わりつつあります。 大手企業も「株主を喜ばせることが自分の地位と収入を守る最善の道」 と考える経営陣や組織のトップにとって、従業員はあくまでも道具なのです。

これが、今の若者たちが生きている現実社会であり、どこで倒れてもすべて自己責任で片付けられてしまいます。 若者が抱く「安定した収入を得て、結婚し、家族とともに幸せに生きたい」 というささやかな願いを持つことさえ、とても難しくなっています。

今の社会は、多くの若者にとって就職という形で自らの人生を支えることが難しいという、祖父母や親の世代には想像できなかった厳しい時代を生きることになります。

そのような中で、唯一の自立の可能性は家族の協力です。 特に、親が我が子の自立のための最大のサポーターとなって、精神面で支えてあげることが大事です。 会社や上司の状況を親もきちんと把握し、常に子供がどのような状況に置かれているのかを確認しましょう。

親は、子供が安定した仕事に就けない理由を子供の資質や性格の問題と考え、挫折と受け取ることも多いようです。 しかし、現代の企業は個性や特定の分野で優れた才能を持つ人々を個別に評価するすることを止め、「無条件で働く駒となれる従業員以外を必要としない時代」となっていることを認識しなければいけません。

特に自らの精神と体力を削りながらブラック企業で働く若者を持つ親は、1日も早くこの絶望的な就業環境から抜け出させ家族が協力して他の仕事を探す、あるいは子供が結婚したり、家族を持つことができる新しい人生の選択肢を見つける必要があります。

また親が資金的な支援を行い、自営や共同事業という形で子供と共に起業し働く喜びと収入を確保し、子や孫のための人生をサポートする方法も選択肢のひとつです。

遠く離れた地で、子供を孤立させないための家族ぐるみの行動が必要な時代です。

エコツーリズムについて再考する

エコツーリズムに関し、日本では最初の定義の設定段階で既にビジネスに軸足をおいた内容となっており、その後のエコツーリズムの運用のベースになっています。 このエコツーリズムの定義は、スペインのマドリッドに本部を置く国連組織のひとつ、世界観光機関 (The World Tourism Organization) の持続可能な観光開発としてのエコツーリズムの定義から日本の観光業界に適応させる形で応用したもののようです。

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ただ、世界観光機関のエコツーリズムの定義は、「自然環境の保護と地元の人々が満足して生活をつづけることができる環境を守る」 事を第一義としています。つまり、「そこにある自然と、そこに住んでいる人々と生活・文化をリスペクトする」ことにあります。

コマーシャルベースのエコツーリズムでも自然やその地域の人々にとって 「ウインウインの関係になる」 との説得性を持たせる典型的な表現が 「エコツ-リズムは、地元の人々の経済的な利益と雇用につながります。」 です。

しかし、現実には生態学的環境保護と観光開発による相互作用は地元の自然と人々の生活に数々の不都合を生み出します。 その意味は、相互のための共棲関係を作るということが必ずしも相利共生の関係を導き出すことにならないという生物学的理論と同じです。 その理由は、自然の生態系にとって観光が存在手段の必要条件ではないことにあります。

「そこにある自然と、そこに住んでいる人々と生活・文化をリスペクトする」ためのエコツーリズムをいかにして生み出すかは、素晴らしい自然を持つ日本の多くの観光地にとってこれから先本格的に取り組むに値する重要な課題です。

世界観光機関によるエコツーリズムのオリジナル定義については、こちらでご確認頂けます。

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Author:宮古島プロジェクト

宮古島をはじめ離島で暮らす人々の将来のために島を活性化し、島民が心豊かに暮らすことの出来る場所にするための活動モデルをプラットフォーム上で構築するのが、ゆうやなうれ宮古島プロジェクトです。

このブログでは、主に離島の抱える問題に関する世界の参考データや資料を紹介しています。

ゆうやなうれ宮古島プロジェクトはいずれの団体、組織、特定の政治や思想グループにも属さず、影響を受けることの無い完全独立系の活動組織です。

(宮古島プロジェクト 運営管理部)

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