未来のための海岸保全施設整備事業

 世界の多くの大学の環境土木工学部(環境エンジニアリング)の研究プロジェクトに、「土壌の海への流出をどのように防止するか」と、「海岸浸食を防ぐ新工法の開発」があります。

 世界の気候変動による降雨量の増加による土壌の海への流出や、海面上昇による海岸線の浸食をどのように防ぐことが出来るかがプロジェクトテーマですが、その中心となるのが生態系に十分配慮した形での解決法であり、日本で未だに行われている海と陸地をコンクリートで分断する海岸保全施設整備事業とは、全くコンセプトの異なるものです。

 島嶼地域は、少ない陸地面積の多くが島民の生活のために畑地化されたことで森林生態系が少なく、その上観光開発などによって海岸に接する地域では生態系を有する面積がさらに減少しており、生態系への影響を最小限にとどめ、海と陸地を分断しない方式による赤土の流出防止策や海岸線の浸食防止対策の緊急性が高くなっています。

 多くの離島が観光を基幹産業とすることをめざし、将来はさらに多くの観光客を誘致することで島の経済を成り立たせたいと考えていますが、過去に行われてきた海と陸地をコンクリートで分断する海岸保全施設整備事業などにより、島の随所に観光地としては残念な風景が数多く出来上がっています。

 現在では開発途上国でも採用されることの少なくなった、コンクリートを多用した形での海岸保全施設整備事業によって台無しになった島の景観を取り戻すために必要とされるのが「リ・イメージング」です。 日本では、リメイクと混同されて使われる事がありますが、リメイクは以前にあったストーリーや作品をベースに新しい解釈を加えて作り上げることを言いますが、リ・イメージングは、同一テーマに対して新しい考え方や手法により、新コンセプトに相応しい全く異なったものを作り上げることを言います。

 つまり「リ・イメージング」による海岸保全施設整備事業とは、生態系への影響を最小限にとどめ、海と陸地を分断しない方式による赤土の流出防止策や海岸線の浸食防止対策です。景観上だけでなく生態系を具体的に取り戻すために、コンクリートが全く表面に出ない工法により、本来の原生植生でおおわれているが、しっかりと赤土の流出を防ぎ、海岸浸食のスピードもある程度抑えることのできる保全事業を目指します。

 そのための第一段階が、研究所と自治体の協力による数々の試作であり、長年にわたるノウハウの蓄積です。 その後、ある程度の効果が期待できる方式が出来上がった段階で離島振興計画予算などを有効利用し、海岸線を固めていたコンクリートを破砕し、取り除き新方式の海岸線保全整備を行います。

 ある意味、これまでは「どこでもいい、コンクリートを流し込める場所を探せ!」が振興予算による事業計画の実態だとすれば、今後は新方式の海岸保全事業を推進するために、「コンクリートが露出している所は順次破砕し、取り除いていこう!」が、離島を昔以上の美しい島にして未来に残してあげることのできる第一ステップかも知れません。

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Author:宮古島プロジェクト

宮古島をはじめ離島で暮らす人々の将来のために島を活性化し、島民が心豊かに暮らすことの出来る場所にするための活動モデルをプラットフォーム上で構築するのが、ゆうやなうれ宮古島プロジェクトです。

このブログでは、主に離島の抱える問題に関する世界の参考データや資料を紹介しています。

ゆうやなうれ宮古島プロジェクトはいずれの団体、組織、特定の政治や思想グループにも属さず、影響を受けることの無い完全独立系の活動組織です。

(宮古島プロジェクト 運営管理部)

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