酒と社会生活と比較文化論

12月4日、イギリスのオックスフォードにあるシンクタンク、社会問題研究センターが 「比較文化学的アプローチによる、酒と社会生活の研究」 を発表しました。

社会問題研究センターの報告は、調査依頼を行った組織に寄り添った形でまとめられることが多いとの批判もありますが、今回の報告は世界の伝統的な文化行事におけるお酒の意義と現代のお酒との関わりなどについて、かなり詳細にまとめています。

確かに今回の研究報告にもある通り、お酒は多くの祭事や儀式、祝い事の象徴的存在のひとつであり社会文化の変化・進化と密接に関わり合い、今日に至っています。

但し、社会文化学的な意味合いで使われる酒と嗜好性や強い依存性による酒の摂取とは全く次元の違うものであり、本来は社会文化論という同一概念で論じることはできません。

しかし、この報告書が指摘する通り現在もう一つ世界的に問題となっているのが、昔は儀式的象徴としての存在だった酒が、生活レベルが向上し、個人で自由に酒を購入する経済力を持つようになると、儀式の中で飲まれていた酒の量も増加し、さらに儀式後は会場内外でいつまでも宴会が続きドンチャン騒ぎになってしまい多くの社会的、健康的問題が発生するというです。

最初は文化性の強い儀式や式典から始まっても、最後はドンチャン騒ぎで収集がつかない状況はヨーロッパ諸国(今回の報告書ではイタリヤ、スペインでのケースを挙げています)などでも大きな問題となってきています。 そのため、現在では社会文化学的酒の研究をする上でも依存性の高い嗜好品としての飲酒との境目が付けにくい状況になっており、新たなアプローチが必要な事も確かです。

「最初は文化性の強いものだったが、それが、いつでも好きなだけ酒が手に入る経済状況と、一家の大黒柱が二日酔いで例え休んでも、家族が問題なく生活が出来るほどの安定を手に入れた時に、アルコール依存症や社会問題、DVなどの犯罪が起きる」 というのは、復帰後の宮古島でも以前は祭事などでのみ行われていたオトーリが個々の家庭でも行われるようになり、収入の向上とともに急速に飲酒頻度と酒の消費量が上がったことの説明にもなります。

今回の報告書を見て感じることは、宮古島のオトーリもこれまでのような地域課題としてだけではなく、国際視点である 「比較文化学的アプローチによる、酒と社会生活の研究」 という論点から研究すると、かなり重要な研究結果を残すことが出来るかもしれません。

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