変えていく文化

先日、あるテレビ番組でアメリカ最北の町、アラスカの北極海に面する バロウという町にある高校のフットボール部 (Barrow Whalers) を紹介していました。 北緯70度にあるその町は人口約4,300人、世帯数1,400戸くらいですが、町の人々の多くが飲酒による家庭内暴力や飲酒を原因とする事故や社会問題を引き起こしています。

難しい社会環境、厳しい自然環境の中で、フットボールに情熱を燃やす生徒を育てようとするコーチの 「私はこの町の文化を変えていきたいから、こうして学生にフットボールを教えています。 町の人々もそのような生徒の努力に感動し、この地で生きていく喜びを共感してほしい」 との言葉がが心に残りました。

コーチの使った「文化」は、私たちが日常なんとなく思い描く「文化」 の意味するところとはかなり違う響きをもっているように聞こえますが、実はこのコーチはかなり正確に文化というものを捉えていると言えます。

民俗学上の文化とか文明の定義で世界の研究者が最も多く引用するのが、Sir Edward Burnett Tylor と Morton H. Fried でしょうが、その基本概念は、

「民俗学上の文化とか文明の定義は、構成する地域の人々によって習得された知識や一般的な信念、芸術、道徳、社会習慣、能力、 機能体系、個人や地域社会の思考や行動習性の傾向の複合体として作り上げられる合成物、あるいは合成概念である。」 ということです。

広義、狭義の差なく、今のその地域のあるがままが「文化」そのものであり、変えていかなくてはいけない文化や進化させなければならい文化があります。

宮古島にも飲酒による家庭内暴力や飲酒を原因とする事故や社会問題があります。 宮古島の人は、「おとーりは宮古島の文化さ」 と言います。 文化という言葉の使い方は定義上正しいのですが、この文化もバロウ高校のフットボール コーチの言うように変えるべき時期をむかえた文化のひとつかもしれません。


参考資料:
Sir Edward Burnett Tylor. Primitive Culture, London: John Murray, 1871. Reprinted in 2 vols. as The Origins of Culture and Religion in Primitive Culture. New York: Harper and Brothers, 1958.

Morton H. Fried, The science of linguistics. Readings in Anthropology, vol. 1, ed. 347-63. New York: Thomas Y. Crowell. [1968]

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