ヴィクトリア大学の Dr. Geoff Bertram 教授

私たちが、離島の諸問題について検討を進める時によく参考にさせて頂くのが、ニュージーランドのヴィクトリア大学の Dr. Geoff Bertram教授の論文です。
Bertram 教授は現在、ビクトリア大学の政治・政策研究所の上席研究員であり、このブログでも以前何度か紹介した、国際小島研究協会 International Small Island Studies Association(ISISA)の学術研究者として多くの論文を発表しています。

Bertram教授は、離島やマイクロ・アイランンド諸国という言葉で表現される、とても小さな島国における行政運営についての研究もあります。 離島でのインフラ整備から社会福祉にいたる行政全般にわたり、小さい行政単位独自の問題点が多くありますが、それらに対するアプローチや解決法についても学ぶべき多くの提言があります。

著作権上、ここで翻訳しご紹介することは出来ませんが、Dr. Geoff Bertram, Victoria University at Wellington と検索すると、その研究内容がたくさんネット上に公開されています。

また、離島問題研究者のためのネットワーク作りには、国際小島研究協会 International Small Island Studies Association(ISISA) の活動内容がとても参考になります。

ISISA400.jpg

鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)

【ワシントン=共同】 2013年 4月 10日
 中国で鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の感染が相次いでいるのを受け、米疾病対策センター(CDC)は9日、24時間態勢で国内外の情報収集にあたる緊急対策センターを、米ジョージア州アトランタの本部内に設置したことを明らかにした。
 人で重症化する恐れがあるH7N9型への対応を円滑化するとともに、事態の推移に迅速に対応して中国の衛生当局や世界保健機関(WHO)などとの協力を進める狙い。
(引用ここまで)

さて、現在 WHO (世界保健機構)では今回のH7N9の重症化にともなうパンデミック(汎用性流行・感染爆発) の可能性を視野に、世界各地ではどのような備えをなすべきかについての多くの情報提供を行っています。

そこで、宮古島プロジェクトでは WHO やCDC (米疾病対策センター) などによる情報を直接収集し、その中から、離島での備えに採用できそうなものをまとめてみました。

離島は本来、大陸や都市部から物理的にきり離されていることから、このような流行性感染症の影響を受けにくいはずでしたが、交通手段が発達した現在では、世界のどこで発生したものでも、感染者は宮古島に1日で到着でき、宮古島での集団感染が始まる可能性もあるのです。
つまり、今では離島や遠隔地も、パンデミックの危険性は都会の人口密集地とかわらないということです。

さて、感染症の到達スピードには差が無くなった反面、一旦流行が全国規模で広がった場合、離島や遠隔地は治療から大きく遅れを取ることになることも、WHO のこれまでのパンデミックの分析調査で明らかになっています。
こうして今の離島は、パンデミックが発生した場合感染症は本土と変わらない速さでやってくるのに、治療スピードは依然として最後尾扱いのままであるという、新たな難しさに直面することになります。

宮古島の場合を考えてみると、中国からの観光客も含め毎年島の人口の8倍近く、40万人ほどの観光客がやってきます。 また、格安航空便などにより、本土で暮す島民の家族が島へ帰る頻度も高まるなど、入域者数がとても多くなっています。

宮古島に限らず、このような状況に近い離島は世界にも多くあります。 そのような状況にある離島や遠隔地に向けられた、WHO やCDC をはじめ、世界の感染症研究機関による対策安を見て行きましょう。

1.パンデミックになった場合、離島や遠隔地は、中央政府からの支援がすぐには来ないことを前提として、対策を作る必要があります。

2.ワクチンをはじめ治療薬の奪い合いが県こと、市町村ごとでとても激しく行われるようになります。 各地方自治体では、どのように自分達の市民を守るためにワクチンを確保するかのシュミレーションが必要です。

3.パンデミックになった場合、拡散防止策の第一は、人と物資の移動を止めることであり、どの国でも政府単位での対策の第一が輸送手段の制限です。 これに伴い、医療関係物資や食料を対象外としても、輸送車両や飛行燃料の供給体制に支障がおきるなど複数のマイナス連鎖が発生し、離島向け救援物資は届きにくくなります。 つまり、離島では医療活動のための必要物資さえも届くまでには、相当長い時間がかかることを想定した対策が必要になります。
ハリケーンなどの大規模災害の場合でも同じと言うことですが、先進国であっても、国によっては遠隔地とのタイムラグ(実施速度の遅れ)を15日としているところもあるほどです。
つまり、離島では発生後2週間外部から支援が無かった場合の島民の生命と安全をどう確保していくかの対策が必要である、とあります。

4. 個々の家庭で考えておくべき対策のひとつが、パンデミックの場合は紙幣や硬貨などを介在させた感染の防止のために、政府はATMの停止をはじめ、全ての銀行に現金の払い戻しを停止させる可能性があります。
地域の商店での購入も、クレジットカードによる電子取引のみが有効であるとの認識が必要です。

5.現在の収容患者数の最大限は何名で、緊急収容先として準備できる学校や公共施設への収容最大人数は何名になるのかを算出しておく。

6.パンデミックの場合一番確保したいのが看護師。 急速に膨れ上がる患者に対応するためには看護師の数が救命活動の決め手となります。 医師は司令塔としての機能であり、患者の生命を救う可能性は看護師の数に比例します。
看護師資格保持者で、現在看護師として働いていない人や、引退した看護師の人々に協力を仰ぎ、いざというときには、島内で最大何人の看護師を確保できるのかを把握しておく。 特に助産婦資格者とは、迅速に連絡を取れる体制を整えておく。

7.これまでの世界のパンデミックとの戦いの記録を調べ、それらの感染症別に家庭内感染、校内感染と職場感染の拡大をどう食い止めていくかを自治体ごとにまとめ上げる。

8.「訓練」、「訓練」、「訓練」
対応策を作り上げるだけでなく、実際の災害を想定した複数のシュミレーションを基に、数多くの訓練を行うことで、危機対策に関する多くのノウハウを行政府、警察、消防、保険所、運輸当局、地域住民で共有できるようになります。

9.そして重要対策の最後に挙げているのが, 「市民は自治体政府に、しっかりと対応策を市民とともに作り上げるように要請を続けることが大切である」 ということです。


H7N9
この画像は、WHOが4月5日に発表した鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の発生状況マップです。

以下のリンクから直接情報を得ることが出来ます。

WHO (国連 世界保健機構)
http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/en/

アメリカ疾病予防管理センター
http://www.cdc.gov/flu/avianflu/

中国疾病预防控制中心
http://www.chinacdc.cn/

環境省 鳥インフルエンザ
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/

国立感染症研究所  感染症情報センター
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html

環境省 自然環境局鳥獣保護業務室
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/about.html

農林水産省 鳥インフルエンザに関する情報
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/

プロフィール

宮古島プロジェクト

Author:宮古島プロジェクト

宮古島をはじめ離島で暮らす人々の将来のために島を活性化し、島民が心豊かに暮らすことの出来る場所にするための活動モデルをプラットフォーム上で構築するのが、ゆうやなうれ宮古島プロジェクトです。

このブログでは、主に離島の抱える問題に関する世界の参考データや資料を紹介しています。

ゆうやなうれ宮古島プロジェクトはいずれの団体、組織、特定の政治や思想グループにも属さず、影響を受けることの無い完全独立系の活動組織です。

(宮古島プロジェクト 運営管理部)

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

RSSリンクの表示

リンク

QRコード

QR
Copyright © 宮古島プロジェクト