「七光湾プロジェクト」 について思うこと

 狩俣地区の七光湾は小さく、浅く、そして美しい入り江です。外海に繋がる出入り口は岩々が連なり、自然の防波堤となって荒波をブロックしてくれます。そのため、小さな子供達を遊ばせるにはもってこいの安全で管理しやすい場所なのです。サニツの日に外海に出ると足元の岩間の深みや潮溜りなどで多くの海の生物を見ることができます。それはそれは貴重な観察場所であり、自然の芸術とも言える美しい景色が堪能できる場所でもあります。

 その七光湾のことで、去年気になる新聞記事を見つけました。それは、世界的に有名らしい森万里子なるアーティストが、アート作品を2点、七光湾に設置するとのことでした。
設置する作品は「サンピラー」と呼ばれる日時計の針のように夕陽を受けて影を作る柱とライトを内蔵し光を放つ「ムーンストーン」の2点だそうです。「サンピラー」はアクリル製で高さ5.2メートル、重さは約5トンで岩の上に、「ムーンストーン」はアクリル、LED、ステンレス製の土台で湾内に浮かべるとのことです。一見素晴らしい計画のように思えますが、幾つか疑問があります。はたしてアクリル製の人工物が七光湾の景観と調和がとれるのでしょうか。また、その予算は・・・?
 
 いよいよ「サンピラー」出現のニュースに七光湾へ向かいました。芸術を解さない無粋な人と思われても仕方のないことですが、正直なところ違和感があります。「また余計なものを・・・」という気持ちが湧いてきます。日没を待ちました。夕日は七光湾の中央にオレンジ色の光の帯を映し出し、とても美しい景色です。側らの「サンピラー」はやはりここでは異物です。(都会では映えるかもしれませんが・・・)

 森氏は「自然との調和」「自然への感謝と崇拝」などと言っていますが、自然はあるがままが芸術で、神々が創造した芸術作品に手を加えるべきではないと考えます。どんな素晴らしい芸術作品も自然の美しさを超えることは難しいように思えます。このオブジェで観光客を呼び込む計画もあるようですが、例えば東屋やコンクリートの階段ができ、整備された海水浴場と手付かずの自然の海とでは人はどちらに感動するでしょうか。東屋などはやがて残骸となります。「サンピラー」は頑丈な基盤に倒れることのないように整えられていますが福島原発事故でも分かるように自然の力は人智を超えています。崩壊したら自然に戻ることのない素材、誰が片付けるのかと心配です。

 「ムーンストーン」は、台風のシーズンには湾内付近に設けられる管理棟に収納する予定だそうです。これらの管理は宮古島市に設置した「NPO法人ガイア・アート協会」が行うそうですが、腑に落ちないことがあります。森氏は「ギフト」だと言っているにも関わらず、宮古島市から何故、同協会に522万円も補助金を出す必要があったのでしょうか。これからも管理・維持のために市税を出し続けるのでしょうか。

 また、私にはどうしてもこのプロジェクトの総予算が3億円もかかるとは思えません。本当にそうなのでしょうか。私は森氏の言動に不信感を抱き、そしてこの計画に乗った市政に憤りを覚えます。地域の皆様には権威に振り回されることなく、真の眼でこのことを見つめて頂きたいと思います。本当にこの計画が地域の発展に繋がるのか。森氏が言うように世界中の人が訪れるようになるのか。七光湾のオブジェが地元の大切な宝物となるのか。むしろ、何か大切なものを失っていないか・・・。七光湾プロジェクトの中に掲げられている「伝統的集落の復元」、このことを他人に任せてもよいのか。このようなことを是非とも考え、判断してほしいと思います。この島には外部から多くの人がやって来て、新しい事業を展開しようとします。私達はそれが地域にとって本当に良いことかどうかを慎重に見極める必要があると思うのです。

 私達は生活の豊かさ、便利さを求めて島の開発を推し進めてきました。しかし、このまま突き進めば、次世代の子供達に何を残すことが出来るのでしょうか。そろそろ考え直す時期に来ているのではないかと思います。

 島を想い、変わりゆく様を憂う心で市政、市民に申し上げます。自然への配慮のない公共工事や「芸術」の名のもと、これ以上島の宝を壊すのは止めて頂きたいと。むしろ島全体の再生のための努力をして頂きたいと。

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Author:宮古島プロジェクト

宮古島をはじめ離島で暮らす人々の将来のために島を活性化し、島民が心豊かに暮らすことの出来る場所にするための活動モデルをプラットフォーム上で構築するのが、ゆうやなうれ宮古島プロジェクトです。

このブログでは、主に離島の抱える問題に関する世界の参考データや資料を紹介しています。

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(宮古島プロジェクト 運営管理部)

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