農家の味方ニィ・ヨン・デイ

WHOは6月23日、2. 4-D アミン塩除草剤を人間にとってガンの発生が懸念される農薬としてこれまでのカテゴリーを一つ上げ、Group 2B に指定したと発表しました。

この研究発表は、WHO の研究機関のひとつである国際ガン研究局 ( International Agency for Research on Cancer, IARC) によってなされたものです。

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2. 4-D といえば、世界各国でも広く使用されてきましたが、特に日本では 「農家の味方ニィ・ヨン・デイ」と呼ばれ、手軽さ、便利さ、効果の高さで全国に普及し、高温時(25℃)であるほど効果が高まるという特性から、沖縄のサトウキビ農家も使っています。

日本では農家に限らず、自治体の道路わきの雑草対策や、私たちの確認した中には町内会役員が子供の遊び場の雑草を刈る手間を省くために2. 4-D や他の除草剤を使っていました。

私たちの懸念は、2. 4-Dのもつ土壌中での高い移動性による地下水への影響や研究がまだ十分に尽くされていないこと。 また、2. 4-Dのようなホルモン型の移行性除草薬がどのような形でヒトに害を及ぼすのかのメカニズムがわかっていないことです。

しかし今回のWHO の発表は、この2. 4-Dとガンの因果関係を一歩踏み込んで免疫学的分析を行った結果、酸化ストレスなどの生成を誘発する可能性があるとのエビデンスを確認できたということです。 これにより、非ホジキンリンパ腫 (Non-Hodgkin Lymphoma, NHL) など進行性の高い(中悪性度で月単位で病状が進行する)胸壁発生悪性リンパ 腫や、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫などが懸念されます。

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2. 4-D アミン塩除草剤に限らず、除草剤については子供が直接薬剤に触れる可能性のある環境では使わないことが大切ですし、散布する農家の人々の健康管理のためにも、今回のWHO の発表をうけて、あらたな使用基準がメーカーや農業団体から出されることを望んでいます。

また、他の多くの地域のように、水源がはるか遠くの山岳地帯ではなく、多くが畑地に降った雨水が地下水源となっている宮古島の場合は、やはり化学肥料や農薬による水源の環境変化、環境負担、地下水への流亡状況の実態についてより細やかなモニターをする必要があります。

参考資料:
1. The International Union of Pure and Applied Chemistry (IUPAC)
2. Ministry of the Environment and Climate Change, Canada
3. The International Agency for Research on Cancer (IARC)
4. International Programme on Chemical Safety (INCHEM)

宮古島でのサステイナビリテイとは

 沖縄でもサステイナビリテイという言葉は講演会やセミナー、商業活動、販促活動、さらには基地反対運動にまで利用されていてその応用力の自在さに驚かされます。

 今日は、欧州中央銀行のマリオ・ドラギ総裁がギリシャ政府に 「経済政策をしっかりやって、借入金の返済を持続可能なものにするように」 と珍しく借金返済にサステイナブルを使っていました。

 「持続可能な発展」 については1987年、国連の環境と開発に関する世界会議で当時のブルントランド (Gro Harlem Brundtland) ノルウエー首相が議長となってまとめ、採択された報告書の中では 、
“Sustainable development, which implies meeting the needs of the present without compromising the ability of future generations to meet their own needs”
とありますが、日本ではほとんどが 「現代の世代が、将来の世代の利益や要求を充足する能力を損なわない範囲内で環境を利用し、要求を満たしていこうとする理念。」 と、いかにも学者による理論付け風の訳になっています。

 しかし、報告書の精神に沿った形で日本語訳をすると 「持続可能な発展の道は、将来の人類の必要を損なうことのない方法で現代の人類の必要を賄っていく」 ということになると思います。 「要求を満たす」と言うよりは「必要な量だけを賄う」と言うのが本来の sustainable でしょうね。

 現在巷には、サステイナブル・ファッション、サステイナブル・ライフスタイル、サステイナブル・ツーリズム、サステイナブル評論家など 「それのどこがサステイナブルにつながっているのか?」 じっくり聞いてみなければ関連性がわからないものもたくさんあります。 しかも、サステイナブル本来の効果的運用は商業活動による消費者をターゲットにして行うものでなく、地方行政や国家、国際組織により間断なく粛々と実行し続けることで、初めて効果が期待できる壮大な人類生存のための事業なのです。

 なぜ国連が 継続可能な発展の道 (Sustainable Development) をまとめるに至ったかを考えると、1980年代になってやっと私たち人類はこの地球以外にまったく逃げ場のない星の住人であると気づいたということです。

 そのコンセプトをもとに宮古島で もサステイナブルを考える時、「将来の宮古島の住人の必要を損なうことのない方法で、私たちの必要を賄っていく形で発展を続ける道を探す」 のが行政や議会議員のもっとも大事な仕事となります。

 そのための検討が十分に行われていない場合は、市民が積極的にそのための働きかけを行う必要があります。 その理由は、宮古島など観光が主要産業の地域はどうしても外部からの開発業者による事業が多くなり、島の持続可能な発展を維持するのが難しくなり、結果として将来の宮古島の住人の必要を大きく損なうことになるからです。

 ご参考までに、下のリンクは、国連による世界の持続可能な開発に関する2015年度報告書です。

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URL: https://sustainabledevelopment.un.org/?page=view&nr=820&type=230&menu=2059

Photo courtesy: United Nations Department of Economic and Social Affairs

SIDS報告書 「小島発展途上国に関する新たな問題点」

 少し前の話ですが、昨年7月国連環境計画の長年の活動である小島発展途上国 (SIDS) に関する新しい報告書が発表されました。 このSIDS報告書は 「小島発展途上国に関する新たな問題点」を35の分野に分け、問題点の掘り起こしと解決のための提案を行っています。

テーマの中でも私たちが注目したのは、
1.地球の温暖化や自然災害への備え
2.生態系保護の限度を超えた開発活動に関する今後の対応
3.土地や砂浜の消失と共に失う生物学的多様性とエコシステムの復元
4.島内資源の持続可能な活かし方と今後の対策
5.島民の健康・保健対策
6.島で若者たちが生活を続けるための生活基盤を再構築する
7.島々の伝統的様式や知恵、土地に根付いた文化的要素の再認識
などです。

 これらには、宮古島にも関連するテーマが含まれていますが、今回の報告書の中に新たに盛り込まれた共通認識のひとつに、「今後の離島における問題解決のためには Social Cohesion (地域社会全体のまとまり・結束)を再強化させよう。」という呼びかけがあります。

 たとえそこが社会基盤の弱い離島であっても、自分たちの知恵の結集や団結力で解決し乗り越える力とノウハウを蓄積することで、 多様化、複雑化する世界情勢の中でも取り残されることなく、島民の豊かな生活を持続可能にさせる道を開こうというものです。

1.島の将来の発展に影響すると思われる問題を丹念に調べ上げ
2. それらの問題を解決するために、島民がどのように将来の方向付けをすることが最善かを話し合い
3.協力して全島体制で解決に当たる
という流れを淀むことなく作ることで、小さな島の行政を始め各組織のマネージメント力が強化されます。

 読んでいると、何も今更国連環境計画がまとめる内容でもなさそうな初歩的な対応策に聞こえますが、1.) 問題を丹念に調べ上げ、2.) 島民でじっくりと協議を続け、3.) 協力して解決に当たることは、「島の限られた既得権益を巡り長く続く利害関係や有力者や支配者層に独占された行政などにより、島民意識をまとめることが意外と難しい」 という現実があるからです。

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photo courtesy: United Nations Environment Programme (UNEP)

国連環境計画 発足40周年

今年は、国連環境計画の発足以来すでに40年目になります。

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国連環境計画(UNEP)は、1972年ストックホルム国連人間環境会議で採択された「人間環境宣言」および「環境国際行動計画」の実行機関として同年の国連総会決議に基づき設立された国連の補助機関です。
発足当時の写真は、こちらの UNEP のホームページでも見ることが出来ます。

http://www.unep.org/40thAnniversary/

ただこの40年で、世界の環境は改善された地域に比べ、汚染が広まった地域が確実に拡大しています。
汚染物質の拡散による地球への衝撃度、人間の健康に与える害毒性物質に曝される総人口も増加しており、宮古島のような離島であっても、広域汚染による有害物質が届く可能性は以前より高まっているのです。

何が来るのか?
いかに対応するのか?
何を用意すべきなのか?

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6月5日の「世界環境の日」までに、私たちなりの新たなアプローチを考えてみようと思います。

第5回 国際海洋ゴミ会議

国際連合の環境保護と、海洋環境の国際活動を行う国連環境計画(UNEP) と、米国海洋大気圏局(NOAA) が共同主催する“第5回 国際海洋ゴミ会議”が3月20日から25日までの5日間、ホノルルで開催されます。

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この国際会議には、東アジアの国々から排出される海洋ゴミの実態調査とデータの分析・管理を行っている、ゆうやなうれ 宮古島プロジェクトも参加することになりました。

宮古島に戻りましたら、国際会議のもようと、私たちの協議内容について皆様にご報告させて頂きます。

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Author:宮古島プロジェクト

宮古島をはじめ離島で暮らす人々の将来のために島を活性化し、島民が心豊かに暮らすことの出来る場所にするための活動モデルをプラットフォーム上で構築するのが、ゆうやなうれ宮古島プロジェクトです。

このブログでは、主に離島の抱える問題に関する世界の参考データや資料を紹介しています。

ゆうやなうれ宮古島プロジェクトはいずれの団体、組織、特定の政治や思想グループにも属さず、影響を受けることの無い完全独立系の活動組織です。

(宮古島プロジェクト 運営管理部)

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