気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)と開発途上島嶼(とうしょ)地域

2015年11月30日から12月11日まで、フランス・パリで、気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)と京都議定書第11回締約国会議(CMP11)が開催されました。

今回の会議では、京都議定書に続く、2020年以降の新しい温暖化対策の枠組みをどのように作り、合意するかについての国際会議でした。 その内容は、既に昨年末のニュース報道でご存知と思います。

私たちが今回の COP21 で注目するのは、世界の開発途上島嶼(とうしょ)地域が持つ気象変動に伴う多くの懸念や問題点について、そろえぞれの地域の代表者が直接国際会議の中で世界の首脳に訴えたことと、気象変動の中にあって環境、経済、社会の各分野での持続可能な開発方式等についても話し合われたことです。

また国連の small island developing States (SIDS) では、これに合わせ昨年12月14日、「開発途上島嶼(とうしょ)地域 - 気象変動版」 を発行しました。 この報告書の中では、国連や世界の広い分野の科学者による調査データをもとに、世界規模での気象変動による地域別インパクトや、まだ公開に至っていない各国の研究中のテーマについてなども紹介されています。

宮古島を含めた、世界の島々と気象変動の関係につて興味のある方は参考にしてください。

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離島を干上がらせないために、私たちがしておかなければならないこと。

世界の島嶼地域に共通する問題は、近い将来島が温暖化によって水浸しになるか、乱開発などの環境破壊によって干上がってしまうかのいずれかの脅威にさらされることになるという不安を抱えていること。

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太平洋の島嶼地域は政治的、経済的問題から、社会問題、環境問題などにおいても深刻度と緊急性の高い問題を多く抱えており、しかも各地域独自の事情が有り、一元的解決法では間に合わないという難しさもあります。
それらの事情は、これまで6回開催されている沖縄を含む太平洋島嶼国や地域における協力体制を強めるための国際会議、太平洋・島サミット(日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議)をみてもよく解かります。

さらに、太平洋島嶼国・地域には、1990年代後半より広まり始めた中国のこの地域への影響力が近年益々大きくなり、海外からの協力体制や島嶼国同士での協調体制づくりがいっそう難しい状況になっています。

私たちが自分の島をサステイナブル(持続可能)な島とするための最も現実的な対策は、地震対策や津波対策と同じで、自分でしっかりと準備しておくことのようです。

このブログでも何度か紹介した、ハワイ大学マウイ校が管理・運営する International Small Islands Studies Association の報告の中にも、私たちがこの島をサステイナブル(持続可能)な島となるための多くのヒントがありますので、参考にして下さい。

また、宮古島プロジェクトのプラットフォーム上でも、サステイナブル(持続可能)な島とするための以下の提案を行っています。

1.観光開発は、目先の利益や場当たり的企画での開発を止め、長期展望と明確なビジョンを持って開発計画を進める。
2.農業や水産業の発展目標は、土地条件や近海の漁獲状況のデータ分析、生産者の状況(年齢や人数、男女比)にあった生産体制とし、市場性についての専門的指導員をそろえるなど、従事者の個人的判断を補う組織的サポート体制による農業運営や漁業運営とする。
3.地域の市民生活を守るための基盤は、健康と次世代をになう子どもをしっかり育てること。 そのために、健康・予病対策、島の子どもに大きな夢や目標をたくさん持たせるためのプログラムを、地域の社会事業とする。
4.各分野のプロジェクトを効果的に実施するために、推進の要となるキー・プレーヤー(プロジェクト推進者)をしっかりと育てる。

これらは、政府や国際機関からの財政的支援無しでも地域の力を結集することで、すぐにでも始められることです。

島の海岸線の防波堤をスクラップ & リビルド

沖縄21世紀ビジョン基本計画に基づく、平成25年度沖縄振興特別推進市町村交付金事業計画の総額は3,045億円。 そのうち、交付金による事業内容に関する自由度の高い一括交付金が 1,614億円となっています。

沖縄振興特別推進市町村交付の内容を見て思うことは、その事業内容。 
確かに各自治体から出される事業目標は意義のある内容ですが、それに加え今後は宮古島の環境保護や生物と環境の本来あるべき相互関係を維持する、エコロジー本来の目的を宮古島で実現するための事業にも、一括交付金がより多く生かされていくことを願っています。

いつも島を回りながら思うことは、宮古島の生物と環境が本来あるべき相互関係を保ち続けるための 「本物のエコロジー環境」 を取り戻すための一つの長期大事業として、海岸線の再整備ができたならということ。 

今、地球環境は徐々に変化し、気象変動や海面上昇により、世界各地の海岸線が侵食され流出しています。 そのため、かつては世界中でコンクリートによる防護壁やテトラポットを設置する工法が採用されていましたが、これらの従来工法は海と陸地の遮断になり確実にエコロジー環境を変える事になります。

宮古島は、将来も観光事業や自然との調和によるサステイナブルな農業開発による発展を目標としているのですから、将来を見据え海岸線の防護対策を全く新しいコンセプトでスタートすることで、宮古島の魅力が一段と高まり、世界の注目を集めることが出来ます。

そこで、わたしたちが仲間とよく話し合うのが、防波堤のスクラップ & リビルドです。 島内に現在あるコンクリート製の防波堤及び消波提(港湾地区を除く) や赤土流出防止柵を取り壊し、エコロジー・フレンドリー、つまり、海岸線と陸地を遮断しない工法と海岸線の美観を損なわないデザインによる防波堤へと順次取り替えていくことです。

このような、スクラップ & リビルド工事はコンセプトの方向性の正しさで島民にも受入れられ、広く世界の支持を得ることが出来ます。 この事業を完成させるまでの総事業費も相当額必要な大規模事業となり、しかも長年にわたる継続事業となるので、島民への事業費還元の規模も大きくなるはずです。

また、このサステイナブルな海岸線防護対策を一層地元還元型事業にするためにも、工事はすべて地元業者の手により実施できる工法を開発・採用していくことです。 

昨今の大規模事業の傾向として、大型予算が必要な事業は、大手ゼネコンを必ず介入させなければならなかった、ということがあります。 その理由は、大型事業では地方の業者の工法に関する最新ノウハウが無いこと、工事機材や、機材を扱う熟練のオペレーターがいない、などでした。

しかし、現在あるコンクリート製防波堤や護岸の破砕は、島の業者で充分間に合いますし、サステイナブル工法による防護策(もちろん赤土流出防止対策も織り込み済みの工法)は、島の土木業者と島内の従業員により実施可能なものですから、大きな雇用促進事業ともなります。

取り壊したコンクリート塊の処理を心配する人もいますが、島の人口密集地区で海抜20メートル以下など低地の集落近くに、コンクリート塊で高さ60~70m くらいの小高い丘を作って土で覆い、頂上を通常は憩いの公園、津波の際には避難所にすればいいのです。

津波が心配なら、これまでのような津波を止めるという大胆なチャレンジではなく、いかにして居住区の近くに避難場所を築いて全ての住民の命を守るかの方が現実的な考え方であることを、私たちは東日本大震災を通じて学びました。

この話をすると、仲間内でも 「サステイナブル工法では、大型災害にも対応できるだけの耐久性はないのでは?」 との心配もありますが、東日本大震災による津波で世界最深の防波堤としてギネスブックで紹介されていた、岩手県釜石港の水深 63メートルの防波堤でさえ、破壊されています。
つまり巨額の資金を投入し、世界の最高水準の技術レベルで完成した事業であっても、最悪のケースを想定した備えというのは到底不可能なのですから、それより現実的な対策に見合うスケールでの効果的なサステイナブル工法を採用し、数十年後に更に手を加えることで効果や性能を高め、ノウハウも蓄積することができます。

島の防波堤をスクラップ & リビルド (現在有る物を取り壊し、そこに新しい物を建造)することで、未来資産として美しい海岸線と世界に誇るサステイナブル工法のノウハウを子孫のために残すことができるのです。

この [サステイナブル工法」 に関して参考になるのが、マサチューセッツ州の Woods Hole Group です。 Woods Hole Group は、世界の海洋・海岸の環境対策に関し、国連や NOAA と協力しながら研究、開発、コンサルテーション、施工業務などを行っています。

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海岸線保護のためのサステイナブル工法について、具体的なアドバイスや新しい情報が必要な時は直接 Woods Hole Group と交渉してみる価値はあります。

汚染粒子の越境移流

深刻な中国大陸からの汚染粒子の越境移流が懸念されているが、県内では1月31日に呼吸器に影響を与えるとされる微小粒子状物質(PM2・5)の日平均値が、県管理の9測定局のうち8局で国の環境基準(1立方メートル当たり35マイクログラム)を上回ったことが1日、分かった。
( 熊本日日新聞 2013年 2月2日 ネット版より)

このような記事がありましたが、九州大学応用力学研究所が開発した化学天気予報システム(CFORS) によって予測されたアジア域における黄砂や大気汚染物質の推定分布をみますと、これらの越境移流による大気中のエアロゾル(黒色炭素のすす・有機物・硫酸塩エアロゾルの合計) が、宮古島を含む沖縄諸島にも届いていることが確認できます。

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今後は、先嶋でも環境省大気汚染物質広域監視システム九州大学応用力学研究所大気変動力学分野研究室などの公開データにより、継続的に汚染粒子の動きをチェックをしていく必要が有ります。

バイオ燃料が大気汚染の原因に、人間の寿命に影響も

バイオ燃料が大気汚染の原因に、人間の寿命に影響も=研究
ロイター 1月8日(火)15時26分配信

[オスロ 1月6日 ロイター] 環境に優しいとされる「バイオ燃料」の原料となる植物の栽培が、大気汚染につながる可能性があることが分かった。科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」に6日、研究結果が掲載された。

植物は成長の際に大気中の二酸化炭素を吸収するため、燃焼させても吸収した二酸化炭素が大気中に戻るだけで、環境に優しいとされている。

同研究に携わった英ランカスター大学のニック・ヒューイット氏は、バイオ燃料の原料となる植物を育てることは、大気中の二酸化炭素の量を減少させる点で効果的だとされていたと述べる一方で、「バイオ燃料は大気の質に悪影響を与える可能性がある」と指摘した。

研究によれば、バイオ燃料の原料となるポプラや柳、ユーカリの木は成長が早く、再生可能な木質燃料として使用されているが、成長の過程で「イソプレン」という化学物質を高いレベルで放出するという。イソプレンは太陽光の下で他の汚染物質と反応し、有害なオゾンを生成する。

また研究では、欧州で大規模なバイオ燃料用の植物栽培が行われているとし、人間の寿命や農作物の収穫量に少なからず影響を与える可能性があると指摘した。

― 引用ここまで ―

このニュースの元記事は、世界で特に権威のある総合学術雑誌のひとつと評価されているイギリスのNature 誌のネット版、 nclimate の1月6日のウエブサイト上に紹介されたものです。

これまでも植物性燃料バイオエタノールによるオゾン濃度の高まりによる光化学スモッグ発生頻度の高まりや発癌性物質であるホルムアルデヒドやアセロアルデビドが大気中に増加するなど、バイオマスエタノールのクリーン性に関する問題点の追求、「バイオ燃料は、地球環境に優しくない」は、世界各地で論議されてきました。
バイオエタノール導入による人体への悪影響や環境に及ぼす影響については、2000年頃より世界の幾つかの研究所より発表されていましたので、理論的にも目新しいものではありませんが、今回ネイチャー誌が取り上げたことで、研究者の懸念を具体的に世界に認識させる新しい流れができて来たといえます。

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Photo courtesy by nature.com

Nature 誌の元記事は、こちらで読むことができます。

さらに詳しく知りたい方のために、
9ページの研究発表PDF版 Journal、「nclimate1788」 はこちらです。

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Author:宮古島プロジェクト

宮古島をはじめ離島で暮らす人々の将来のために島を活性化し、島民が心豊かに暮らすことの出来る場所にするための活動モデルをプラットフォーム上で構築するのが、ゆうやなうれ宮古島プロジェクトです。

このブログでは、主に離島の抱える問題に関する世界の参考データや資料を紹介しています。

ゆうやなうれ宮古島プロジェクトはいずれの団体、組織、特定の政治や思想グループにも属さず、影響を受けることの無い完全独立系の活動組織です。

(宮古島プロジェクト 運営管理部)

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