アルコール類の販売促進活動の自粛が、青少年の酒類購入や飲酒抑制に与える効果について」

若年の飲酒の増加傾向に悩む世界各国の自治体が取り組みを強化しているのが、「アルコール類の販売促進活動の自粛が、青少年の酒類購入や飲酒抑制に与える効果について」です。

バイオテクノロジーのデータセンターとして知られる、アメリカ国立生物工学情報センターでは、「アルコール類の販売促進活動の自粛が青少年の酒類購入や飲酒抑制に与える効果について」の研究者グループのレポートを数多く紹介しています。 また、International Alliance for Responsible Drinkingのデータベースにも、アルコール飲料の若年層に与える影響についての多くの参考データがそろっており、世界の研究者に利用されています。

個別のレポートはここでは紹介しませんが、これらの研究データを基に世界の国々で多くの試みがなされています。
代表的な方策としては、アルコール飲料の広告自粛や放送時間帯の制限、放送本数の削減要請など、様々な形でテレビやラジオでの露出頻度を減少させる運動があります。

また、新聞や広告塔、スポーツ施設、電車内のつり広告やバス停の広告、公園のベンチ裏の広告に至るまで、若者の目に留まりやすい場所から、積極的にアルコール飲料の広告掲載を自粛する運動が世界各地で行われ、アメリカやヨーロッパの多くの自治体でも条例化され、宣伝行為が規制されています。

これは、流行やトレンドに敏感で、社会現象に影響されがちな若年層に飲酒を習慣化させないための有効な対策のひとつとして広まりを見せています。

その結果、青少年が多く集まるスポーツイベントでは、主催者側はプログラムから酒造業者の広告を削除する傾向にあります。しかし、これはスポーツイベントから酒造業界を排除するという動きではなく、より企業として成熟した形での社会支援を行う一環です。

企業の社会参加の新しい形のひとつとして、酒造メーカーは広告掲載を行わないサイレント・スポンサーとして資金提供を行い、イベントの影の推進役となって積極的にイベントをサポートします。 一方で、スポーツ大会やイベントにコマーシャル無しで支援した酒造メーカーは、この事実について青少年が参加する可能性のない場所向けの宣伝や、会社のメディア向け資料でこの事実をニュースとして発信できますので、会社の社会信用とコーポレート・イメージを大いに高めることが出来ます。

つまり、酒造メーカーは宣伝しないことを宣伝でき、地域社会もアルコール飲料の宣伝数が減ることで、若年層の飲酒を低減させることが期待できるという、それこそサステイナブル(持続可能) な形でのウインウイン (Win-Win) の関係を築くことができます。

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アルコール依存症と家族の置換症状 (パラ - アルコホーリズム)

多くの日本企業が進出し、日本人の多い都市として知られるカリフォルニア州トーランス市に、アルコール問題に関する世界的研究所 Adult Children of Alcoholics (ACOAS), World Service Organizationがあります。

ACOASをはじめ、今世界では酒を原因とする生活習慣病がそれぞれの家族の子供たちに与える精神的、肉体的苦痛の大きさに関する研究が盛んに行なわれ、アルコール依存症の家族を持つ子供たちがどう成長し成人となっていくかの追跡調査の結果や新しい発見は、次々と各国のワークショップを通じて子供の救援や治療に生かされています。

アルコール依存症の家族を持つ子供にADHD(注意欠陥多動性障害)か多いとのCDC (アメリカ疾病管理予防センター) をはじめ多くの研究結果がありますが、家族にアルコール依存症患者がいる家の子供は継続的な精神的ストレスによる自己免疫疾患や内分泌異常によりADHD以外にも多くの失調症をかかえることになります。

最近のワークショップで多く語られるのが、Para-Alcoholism (パラ - アルコホーリズム)です。

パラは医学用語では「擬似」や「置換」 ですが、アルコール依存症患者は一緒に住む子供を含む家族全員に、アルコール中毒者の感情や悪影響をそっくり置換反応させてしまっている現象がパラ - アルコホーリズムです。

パラ - アルコホーリズムの影響は、特に強く主張できない性格の妻や子供に顕著に現れるといいます。そうして、子供たちは人生そのものに大きな影響を与える性格上の変化を次々と置換反応させ、症状を悪化させ、成人していきます。

具体的な症状は次のようなものです。

1.人に話しても理解してもらえない特別な境遇にあると考え、いつも孤立感や孤独感を持つようになる。

2.こんな環境で育った自分は、とても人には認めてもらえないだろうと考える。

3.他の人の怒りにとても敏感になり、脅威と感じるようになり他人とのかかわりをことさら避けるようになる。

4. 怒りや悲しみで自分ではどうしていいのかが分からない生活が続くと、心が今のことだけになってしまい、将来や自分の夢を持つスペースが全くなくなってしまう。

5.大人が酒に溺れる生活を目の当たりにし、自分も現実逃避をしてみたいとの思いが強まり、酒や薬物を試したいとの誘惑に負ける。

6.家族の暴力的、あるいは実際の暴力による支配は、子供が自立した個人として成長する前に精神的・性格的に大きな歪みと暴力性をもたせてしまう。

これらが、アルコール依存症患者が家族や子供に与える置換症状 (パラ - アルコホーリズム)です。

パラ - アルコホーリズムの治療法は一つしかありません。 家族のアルコール依存症患者を治療させ、完治させることです。 アルコール依存症の人はよく、「酒飲んで病気になっても、苦しむのは俺なんだから余計な指図はするな」と啖呵をきりますが、苦しむのは本人ではありません。 
本人の苦しみをはるかに越える苦しみを、家族と子供が味わっています。

参考資料;
1. Adult Children of Alcoholics World Service Organization
2. The Centers for Disease Control and Prevention

酒と社会生活と比較文化論

12月4日、イギリスのオックスフォードにあるシンクタンク、社会問題研究センターが 「比較文化学的アプローチによる、酒と社会生活の研究」 を発表しました。

社会問題研究センターの報告は、調査依頼を行った組織に寄り添った形でまとめられることが多いとの批判もありますが、今回の報告は世界の伝統的な文化行事におけるお酒の意義と現代のお酒との関わりなどについて、かなり詳細にまとめています。

確かに今回の研究報告にもある通り、お酒は多くの祭事や儀式、祝い事の象徴的存在のひとつであり社会文化の変化・進化と密接に関わり合い、今日に至っています。

但し、社会文化学的な意味合いで使われる酒と嗜好性や強い依存性による酒の摂取とは全く次元の違うものであり、本来は社会文化論という同一概念で論じることはできません。

しかし、この報告書が指摘する通り現在もう一つ世界的に問題となっているのが、昔は儀式的象徴としての存在だった酒が、生活レベルが向上し、個人で自由に酒を購入する経済力を持つようになると、儀式の中で飲まれていた酒の量も増加し、さらに儀式後は会場内外でいつまでも宴会が続きドンチャン騒ぎになってしまい多くの社会的、健康的問題が発生するというです。

最初は文化性の強い儀式や式典から始まっても、最後はドンチャン騒ぎで収集がつかない状況はヨーロッパ諸国(今回の報告書ではイタリヤ、スペインでのケースを挙げています)などでも大きな問題となってきています。 そのため、現在では社会文化学的酒の研究をする上でも依存性の高い嗜好品としての飲酒との境目が付けにくい状況になっており、新たなアプローチが必要な事も確かです。

「最初は文化性の強いものだったが、それが、いつでも好きなだけ酒が手に入る経済状況と、一家の大黒柱が二日酔いで例え休んでも、家族が問題なく生活が出来るほどの安定を手に入れた時に、アルコール依存症や社会問題、DVなどの犯罪が起きる」 というのは、復帰後の宮古島でも以前は祭事などでのみ行われていたオトーリが個々の家庭でも行われるようになり、収入の向上とともに急速に飲酒頻度と酒の消費量が上がったことの説明にもなります。

今回の報告書を見て感じることは、宮古島のオトーリもこれまでのような地域課題としてだけではなく、国際視点である 「比較文化学的アプローチによる、酒と社会生活の研究」 という論点から研究すると、かなり重要な研究結果を残すことが出来るかもしれません。

変えていく文化

先日、あるテレビ番組でアメリカ最北の町、アラスカの北極海に面する バロウという町にある高校のフットボール部 (Barrow Whalers) を紹介していました。 北緯70度にあるその町は人口約4,300人、世帯数1,400戸くらいですが、町の人々の多くが飲酒による家庭内暴力や飲酒を原因とする事故や社会問題を引き起こしています。

難しい社会環境、厳しい自然環境の中で、フットボールに情熱を燃やす生徒を育てようとするコーチの 「私はこの町の文化を変えていきたいから、こうして学生にフットボールを教えています。 町の人々もそのような生徒の努力に感動し、この地で生きていく喜びを共感してほしい」 との言葉がが心に残りました。

コーチの使った「文化」は、私たちが日常なんとなく思い描く「文化」 の意味するところとはかなり違う響きをもっているように聞こえますが、実はこのコーチはかなり正確に文化というものを捉えていると言えます。

民俗学上の文化とか文明の定義で世界の研究者が最も多く引用するのが、Sir Edward Burnett Tylor と Morton H. Fried でしょうが、その基本概念は、

「民俗学上の文化とか文明の定義は、構成する地域の人々によって習得された知識や一般的な信念、芸術、道徳、社会習慣、能力、 機能体系、個人や地域社会の思考や行動習性の傾向の複合体として作り上げられる合成物、あるいは合成概念である。」 ということです。

広義、狭義の差なく、今のその地域のあるがままが「文化」そのものであり、変えていかなくてはいけない文化や進化させなければならい文化があります。

宮古島にも飲酒による家庭内暴力や飲酒を原因とする事故や社会問題があります。 宮古島の人は、「おとーりは宮古島の文化さ」 と言います。 文化という言葉の使い方は定義上正しいのですが、この文化もバロウ高校のフットボール コーチの言うように変えるべき時期をむかえた文化のひとつかもしれません。


参考資料:
Sir Edward Burnett Tylor. Primitive Culture, London: John Murray, 1871. Reprinted in 2 vols. as The Origins of Culture and Religion in Primitive Culture. New York: Harper and Brothers, 1958.

Morton H. Fried, The science of linguistics. Readings in Anthropology, vol. 1, ed. 347-63. New York: Thomas Y. Crowell. [1968]

我が子を酒や薬物依存症の犠牲者とさせないための親の対策

 子供が酒や薬物の摂取を続け、依存症となるケースはけして珍しくなく、子供を持つ家庭であればその危険性は親や家族が考える以上に高いのが現実です。
 また、今回のテーマ 「我が子を酒や薬物依存症の犠牲者とさせないための親の対策」は、様々な誘惑にさらされると考えられている都会の子供たちの親のための対策だけではありません。 地方や離島で生活する子供たちの親もまったく同じ条件下にあり、依存症から子供を守る具体的な行動が求められています。

 そのための具体的な研究報告が日本では見つからなかったので、今回は全米保健研究所 NIH (National Institute of Health) の資料を基に、親の行動はどうあるべきかを考えていきます。

我が子を酒や薬物依存症の犠牲者とさせないための親の対策

1. 親は、子供がティーンエイジャーとなった13歳頃より、子供とお酒や薬物の問題について積極的に話し、子供がこの問題についても親と話しやすい環境を作っておく。

 ここで、親や家族に共通する懸念があります。 それは「そんなに早くから子供に酒や薬物について説明したり話し合いを続けると、逆に子供の酒や薬物への興味を煽ることになってしまいませんか?」ということです。

 NIH のリポートではこの点に関し、「多くの親がその心配をするが、親がしっかりと現実を見据え子供たちに説明を続けることで、継続調査の結果からも子供は親の思いを知り、親の考えを理解しようとします。また、このような親の姿勢を見て、親に対する信頼も高まっています。」と報告しています。

2. 子供が今の親子関係、家族関係がどのような状況と受け止めているかについて、子供に直接質問する方法以外で親が確認し、改善の必要な事があれば改善しいつも話し合いができる環境を作る。

3. 家系として、親や祖父にアルコールや何らかの依存症体質があったか、無かったかを確認します。 そのような依存症を持つ親族がいた場合は、家庭内で飲酒の危険性についての認識の甘さや緩やかな考え方が出来上がっているかもしれません。
この考えや習慣を、子供に引き継ぐことの無いように家族で考えましょう。

4. 子供の成長と共に、性格や考え方がどのように変化していっているかをしっかりと理解する。 社会性があまり無かったり、将来の夢や希望がはっきりしていなかったり、熱中するものをもっていなかったりと、子供なのになんとなく日々が過ぎていく生活は退屈しのぎにアルコールや薬物に手を出しやすい状況でもあります。 家族は、アルコールや薬物に手を出させない努力でなく、子供の興味や将来への夢をともに語り合い社会への適応力を高め伸ばすための努力をしましょう。

5. 家庭内に酒の依存症の人がいない場合でも、子供たちがいつでも勝手に試し飲みをしたり、コップに注いで自分の部屋に持っていけるようになっていませんか? このような家庭の子供たちが、習慣的アルコール依存症になる可能性が高まります。 お酒類の管理方法を考えましょう。

6. 悪い友達に誘われていませんか? 家庭内で孤立させないように、悩みや問題を家族に相談したり、家族が「悩みがあるんじゃないの?」とストレートに問題を聞き出す環境を日頃より作り、交友関係を把握しておきましょう。

 以上が、全米保健研究所 NIH による「未成年者をアルコールと薬物依存症から守るための活動」の中からいくつかの報告内容を抜粋しまとめたものです。
ここにある6つのチェックポイントは、けして多くなくまた専門的知識や専門家の指導を仰ぐことなくすぐに実行できるものばかりです。

 子供のアルコールや薬物依存症が親の手に負えないほど難しくなってしまうのは、それまでに親や家族でも出来たはずの1から6までのいずれの行動もしていなかったことに原因があるようです。 その結果、症状が進んで生涯にわたる重篤なケースを含む何らかの心身障害へと進行させてしまいます。

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宮古島をはじめ離島で暮らす人々の将来のために島を活性化し、島民が心豊かに暮らすことの出来る場所にするための活動モデルをプラットフォーム上で構築するのが、ゆうやなうれ宮古島プロジェクトです。

このブログでは、主に離島の抱える問題に関する世界の参考データや資料を紹介しています。

ゆうやなうれ宮古島プロジェクトはいずれの団体、組織、特定の政治や思想グループにも属さず、影響を受けることの無い完全独立系の活動組織です。

(宮古島プロジェクト 運営管理部)

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