陸地から海へ流出するプラスチックゴミに関する新研究報告

2月13日発行のアメリカの科学誌サイエンスに、「陸地から海へ流出するプラスチックゴミに関する研究報告」が掲載されました。
サイエンスは、世界的にも最大級の学術団体、アメリカ科学振興協会(American Association for the Advancement of Science; AAAS)が発行する科学誌です。

この研究報告は、ジョージア大学、カリフォルニア大学、ノースカロライナ大学などアメリカとオーストラリアの7つの大学と研究所による共同研究をまとめたもので、これまで実施されることの無かった広範囲の国々と、それぞれの国々の内陸部から海に流出するプラスチック量を具体的に数値化したことに大きな意義があります。

宮古島プロジェクト、宮古島キッズネットではサイエンス誌に掲載された報告書を翻訳し、その概要をご紹介します。

******************************************************

「陸地から海へ流出するプラスチックゴミに関する新研究報告」

これまで、海洋環境におけるプラスチックゴミに関しては多くの調査報告がありますが、陸地から海へ流出するプラスチックの量に関しての世界的規模での調査は、なされていませんでした。

1975年には船舶、軍事作戦、船舶事故により発生する年間の海洋へのゴミの流出物の総量を580万トン〈MT〉と推定しましたが、海洋におけるプラスチックに限定した汚染の最初の報告は、1970年代初めに科学文献に登場しました。しかし40年以上たっても、海洋環境に流出するプラスチックゴミの厳密な推定量と流出経路に関しては明らかにされていませんでした。

海上での船舶からのプラスチック廃棄は禁止されています。しかし、廃棄行為はまだ行なわれています。 また、海洋ゴミの80%は陸地に由来するとも言われていますが、この推定はこれまで十分に実証されておらず、陸地から海洋環境に流出するゴミの全体量を把握できる状況ではありませんでした。

一方、今回の調査では世界中の固形廃棄物、人口密度、経済状態などのデーターを関連付けることで、陸地から海に流れ出すプラスチックゴミの全体量を見積もりました。
また、人口規模とプラスチック容器やプラスチック製品の購入量、どのように廃棄されるかの動向調査と自治体などの廃棄物管理能力を調べることで、どの国が大量のプラスチックゴミを海に流出させているかを究明することが出来ます。

その結果、2010年、世界の192カ国の海に接する国々では2.75億トンのプラスチックゴミが発生し、そのうち480万~1,270万トンが海へ流出したものとみられます。
国別ランキングとおおよその放出量は以下のようになっています。

1. 中国      132 – 353 万トン
2. インドネシア  48 - 129万トン
3. フィリピン    28 - 75万トン
4. ベトナム     28 - 73万トン
5. スリランカ    24 - 64万トン
6. タイ        15 - 41万トン
7. エジプト      15 - 39万トン
8. マレーシア     14 - 37万トン
9. ナイジェリア    13 - 34万トン
10. バングラデシュ 12 - 31万トン
11. 南アフリカ     9 - 25 万トン
12. インド        9 - 24万トン
13. アルジェリア    8 - 21万トン
14. トルコ        7 - 19万トン
15. パキスタン     7 - 19万トン
16. ブラジル      7- 19万トン
17. ビルマ       7 - 18万トン
18. モロッコ       5 - 12万トン
19. 北朝鮮       5 - 12万トン
20. アメリカ       4 - 11万トン

また、今回の研究発表で注目すべきことは廃棄物管理基盤の改善がなければ、陸地から海へ流出するプラスチックゴミは2025年までにさらに莫大な量になり、最低でも年間9,000万トン、中間レンジで 1億5千万トン、最大では約2億5千万トンになるものと予測しています。
つまり、10年後に世界の海に流出するプラスチック総量は、対策を講じない限り最低でも現在の20倍となるのです。

参考文献
Plastic waste inputs from land into the ocean
Jenna R. Jambeck, Roland Geyer, Chris Wilcox, Theodore R. Siegler, Miriam Perryman, Anthony Andrady, Ramani Narayan, Kara Lavender Law
Sciencemag.org 13 FEBRUARY 2015 ・ Vol. 347 ISSUE 6223/768/suppl/DC1

****************************************************

ここまでが、「陸地から海へ流出するプラスチックゴミに関する研究報告」の概要です。

沖縄で暮らす私たちは、国際的に見ても最もプラスチック廃棄量の多い中国からわずか450km から650kmというごく近くに住み、漂流ゴミの太平洋大循環コースで考えると、ほぼ川下流出海域という環境で生活しています。
放出量が2025年には20倍になるとすると、宮古島の海岸への漂着量も比例して増加する事を想定し、今から数々の対応策が必要となります。
従来のような、市民ボランティアの善意で片付けるというのは物理的に不可能な量になり、間もなく各自治体での処理能力を超えてしまい、膨大な新処理施設の建設と運用費を負担し続ける時代となります。

そのような将来負担を少しでも軽くするための最も大事な対応のひとつが川上対策です。沖縄県民は、河川からの流出量の多い中国に対し川への投棄を減少させるための積極的な働きかけを行うよう県や国に求める必要があります。

また、沖縄では中国と直接民間チャンネルを持つ人や組織も多いと言われていますので、沖縄の美しい海と漁業、環境、県民の健康を守るために、中国各地での川へのゴミの投棄を減少させるための呼びかけと実施を求めて直接働きかけを行って頂きたいと考えます。

東日本大震災にともなう海洋ゴミ

昨年3月11日の東日本大震災から、今日で530日が経ちました。

国内的にも、震災ガレキの処理はは大きなチャレンジであり、気の遠くなるような膨大な量の処理作業は、いつ終わるかの見通しがつかないのが現実のようです。

同じように、この震災による津波により太平洋に流出したおおよそ500万トンといわれるガレキがアメリカ西海岸やハワイに向かっています。

一部は既にアラスカ、カナダ西海岸、オレゴン州などの海岸に漂着していますが、より密集度の高い漂流ガレキは今後2~3年にわたり、ハワイ、アラスカを含むアメリカとカナダの西海岸に漂着し続けることになりそうです。

私たちの研究プラットフォームの一つが、黒潮などの太平洋大巡回海流に乗ってアジアからアメリカ西海外に到着する海洋ゴミの実態調査です。

調査を開始以来、現在2年が経過したところですが、昨年の大震災津波という新たな追跡テーマも加わり、当初計画より頻繁な現地調査を実施することにしました。

2012-8-21-NOAA-Data.jpg

写真は、NOAA(アメリカ国立海洋局)の沿岸・海洋科学センターの公式ウエブサイトによる、東日本大震災の津波による漂流ガレキ情報のページです。

オアフ島 サンデービーチ (Sandy Beach) で見たもの。

海洋ゴミ国際会議の5日目、スケジュールの合間にぜひ行きたいところがありドライブ中、地元の人に人気のあるサンディビーチに立ち寄りました。
若者たちが、サーフィンやブギーボードと呼ばれる短いボードで波乗りを楽しんでいるビーチを通り過ぎると、いかにも溶岩と思われる黒い岩肌が波に洗われている所に小さな砂浜があり、そこで車を停めました。

「さすがハワイ、ビーチにはゴミひとつ落ちていない」、などと感心しながら、足もとの白い砂を手に取ります。 「宮古島の砂よりはかなり粗い砂だな~」などと思いながら良く見ると、その砂に混じって、青、赤、白の宮古島でも見慣れた小さな破片があります。 「プラスチックだ!」

2011-4-11-3-sandy1.jpg

おどろいて砂を良く見ると、たくさんあります。わずか10分間くらいの間に、紙コップ2個以上のプラスチックや、ローカルゴミといわれるガラス瓶のかけらが集まりました。

2011-4-11-3-sandy6.jpg

おもわず、「サンディビーチよ、おまえもか!」と叫んでしまいそうな状況です。
世界中の海岸が、同じような状態になっているのでしょうか?

宮古島の海岸で漂着物のモニタリング

家族とドライブがてら、モニタリングといわれる状況調査のために宮原第二水辺公園に立ち寄りました。 東屋のある高台から、海岸につながる長い階段を降りると湧き水があり、50m前後の小さな砂浜を横切って、海に流れ込んでいます。本来は清々しい場所であるはずの浜辺にはゴミの山! ここが公園? ドラム缶、ペットボトル、発泡スチロール、浮き、タイヤ、etc.

観光客らしき人達が何組か降りて来ましたが、顔をしかめてすぐに引き返しました。 

漂着ゴミの中に、ウミガメの死骸を発見しました。 「ウミガメが、ビニールをクラゲと間違えて食べて死ぬ」という話を聞いていましたので、すさまじい悪臭でしたが、確認のために現場で解剖しました。

その結果、写真にあるように食道と胃に、未消化の海草がいっぱい詰まっており、腸の中から 5cm と 7.5cmの発泡スチロール2個と、2 x 2.5cm のプラスチック片1個が出てきました。 

2011-2-09-425Smoked.jpg

死因は特定できませんが、我々の廃棄物 (石油製品)をエサと間違えて、食べることは確かです。 

生態系の影響が心配です。 地元の魚介類の汚染は大丈夫なのでしょうか?

この日のモニターリングのようすは、こちらでもごらんいただけます。

宮古島の海岸で漂流物の調査と清掃

さて、2月11日の清掃当日は一度は延期を決めたほど風が強く、雨交じりの天気でした。 それにもかかわらず、口コミで10人のボランティアの皆様が参加してくれました。
初めてお会いする方も何人かいました。 私たちを含め、総勢12名です。(70歳以上も2名)
観測地(白川田の浜)においては、ゴミの多さに参加者一同唖然! 初めて実情を見る人にとっては衝撃的なほどのおびただしい数のペットボトル、形やサイズも様々な発砲スチロールと浮き、電球、得体の知れないもの、その他・・・。
計画を練り直して、数回(数日)にわたって、清掃しようということになり、長時間にわたって作業を進めました。(午前10時半に始まって、午後4時半までの作業です。)
搬入したゴミの量は、軽トラックの2往復分でした。 この浜の漂着ゴミのほんの一部に過ぎません。 「また頑張りましょう。」と誓いあって、解散しました。

2011-2-23-beach.jpg

当日のボランティアの皆様の情熱には、本当に感激しました。 寒い中ご協力頂きありがとうございました。 今後もご協力下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。
共にすばらしい宮古島を築きあげましょう。

詳しい調査と清掃のようすは、ゆうやなうれネットのホームページでもご覧いただけます。

プロフィール

宮古島プロジェクト

Author:宮古島プロジェクト

宮古島をはじめ離島で暮らす人々の将来のために島を活性化し、島民が心豊かに暮らすことの出来る場所にするための活動モデルをプラットフォーム上で構築するのが、ゆうやなうれ宮古島プロジェクトです。

このブログでは、主に離島の抱える問題に関する世界の参考データや資料を紹介しています。

ゆうやなうれ宮古島プロジェクトはいずれの団体、組織、特定の政治や思想グループにも属さず、影響を受けることの無い完全独立系の活動組織です。

(宮古島プロジェクト 運営管理部)

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

RSSリンクの表示

リンク

QRコード

QR
Copyright © 宮古島プロジェクト